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認定理学療法士・NST専門療法士がリハビリに関する内容を書くブログ

運動は継続がカギ!!高齢者の身体活動を継続させるコツとは?

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継続は力なり!!コツコツ運動を続けるための工夫、あなたはご存祖でしょうか?

身体機能を維持するために運動が重要なのは当たり前ですが、習慣的に運動を継続するのは難しいですよね。。

3日坊主とはよく言ったもので、人間の脳は変化を嫌う習性がありよほど強い意志がないと新しい行動を継続できないといわれています。行動を習慣化するためには脳の前頭前野という部分を働かせる必要があるのですが、これにはいくつかのコツがあるといわれています。

私自身も高齢者の方にリハビリを行い、退院後も運動習慣をもってもらうよう様々な工夫をしています。今回は私が実践している運動を継続させるコツをご紹介したいと思います。

目次

①運動不足の悪影響

②運動不足を解消するコツ・方法

①運動不足の悪影響

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健康を維持するためには運動するor運動しないどちらが望ましいでしょう?

そりゃー運動した方でしょう!

その通りです。ただ、運動習慣がないことがどれだけ悪影響を及ぼすかご存知でしょうか?

運動習慣の有無がもたらす悪影響には①筋肉量の減少・体脂肪増加②認知症リスクの増加③寿命の短縮などがあげられます。①に関しては当たり前かもしれませんが、②の認知症リスクにも関連しているんです。

rickらは¹⁾、運動時間と認知症との関連のなかで

運動時間が150分/週未満だと認知機能障害を呈する可能性が高くなる

 と紹介しており、定期的な運動習慣が少ない人は認知症になりやすい可能性があるんです。これは、運動によって、記憶の中枢を担う海馬の活動量が増加することや血糖値の改善などが要因と言われています。

日本の平均寿命は、年々増加していますが健康寿命(介助を受けず独立して生活できる寿命)はそれほど増加していません。この原因のひとつに認知症が影響しており、認知症を予防して健康寿命を延ばすためにも運動は重要かもしれませんね。

150分/週、つまり20分/日運動をするかしないかで人生が変わるかもしれません

②運動不足を解消するコツ・方法

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先ほども説明しましたが、1日20-30分 運動する習慣をつければ健康維持・増進につながります。ただし、運動を習慣化し継続させることが重要なんです。

リハビリ対象者が退院後、三日坊主にならず運動を継続してもらうために私が実践しているコツは①とりあえず1週間してもらう②周囲から応援してもらう

・とりあえず1週間してもらう

人間は新しい行動をするのが苦手なので、2‐3日で諦めてしまう人が多いと思います。そこで私は対象者の方に【まず、1週間やってみてください】とアドバイスするようにしています。1週間継続すると人間の脳は前頭前野から大脳基底核といわれる部位が活動しやすくなります。

大脳基底核前頭前野に比較して活動時のエネルギー消費が少ないといわれています。そのため、運動という意志が大脳基底核を介す=習慣化した行為になれば数か月・年単位で運動が継続できる可能性が高くなります。

アルコールやたばこをやめる時もとりあえず1日辞めるという動機づけを行い、大脳基底核に活動をシフトしていく治療法があります。

・周囲から応援してもらう

これが一番効果的であり、重要になってくると思います。運動が好きでない人からすれば運動を継続するのはストレスです。頑張って、努力して運動をしているので誰かに認めてほしい・褒めて欲しいと無意識のうちに人は感じてしまう(承認欲求)ので、これを満たす環境があるかないかで、運動継続の確率は変わってくると思います。

私はリハビリ対象者の方に運動を継続してもらいたいとき、対象者の家族や施設・デイケアなどの医療従事者に【○○さんが運動を継続するために、応援(声掛けや動機づけ)をお願いします。】と口頭や情報書で書くようにしています。ただこれだけなんですが、以前より退院後も運動を継続している方の割合は格段に増え、個人的にはお勧めな方法だと思います。

ただし、ただ褒めたり声掛けをするよりも正しい情報や運動を説明したほうがより効果を高めます。運動を継続することで認知症予防や健康寿命が延びる、運動は20-30分/日だけでも十分、運動種目は、、、、など科学的に証明されている情報を共有することでより運動を継続する動機づけに繋がると思います。

では高齢者に向いている運動方法とは??

ずばりウォーキングです 。ウォーキングの利点は、特別な機材を使用しない・気軽に始められる・心臓や関節への負担が少ないなどメリットが多い種目なので誰でも気軽に始めやすい種目になります。有酸素運動は筋肉が大きくなる(筋肥大)可能性は低いですが、筋力や筋肉内脂肪を改善する効果が期待できます。 

労働者であれば通勤に徒歩を取りいれる、高齢者であれば近所の散歩や買い物などで歩く習慣をつけることが健康維持の効果を高めてくれるでしょう。

文献

Rick Y,et al:the effct of e-health interventions promoting physical  activity in older people:a systematic review and meta-analysis.European Review of Aging and Physical Activity.2020