膝が痛い、運動も大事ですが食生活(栄養)も同じくらい大事なんです。
年を重ねると身体の節々が痛くなりサポーターや薬を内服する方も増えてきます。日本だけでも高齢者の約40%が膝や股関節の痛みに悩まされており、2050年までに世界で1億3000万人以上が変形性関節症による痛みで悩まされる可能性があると言われているんです。
特に増加しているのが、変形性膝関節症(膝OA)の対象者で約1000万人が膝痛に悩まされているようです。
リハビリでも膝OAに対する治療を行い運動指導をする場面も多いですが、栄養面からのアプローチも近年注目されています。運動するだけでは不十分!!食生活から痛みを取り除く方法をご紹介したいと思います。
目次
①膝OAと食事の関係
②まとめ
①膝OAと食事の関係
膝の痛みにはヒアルロン酸が良いと謳い、通販や健康食品などがブームになりましたね。(個人的には効果があるの?と疑っちゃいますが・・)
私が考える食生活(栄養)の効果は①体重減少②痛みを和らげる栄養素の補給です。
①体重減少
下肢【股関節・膝関節・足関節】の痛みを感じる人の多くは体重が重い(肥満)傾向にあり、減量が効果的な治療方法と言われています。
Sallyらは、変形性膝関節症に関する食事・栄養療法の効果を調査しており、
体重減少が5%を超えたときに膝OAにおける身体障害の有意な改善を認めた。10%の体重減少は膝OAの機能的能力増加と痛みの減少に効果的。
と報告しています。
体重100㎏の方であれば5㎏の体重減少で痛みが減り、10㎏の体重減少で運動能力が上がるんです。
以前の記事でも紹介しましたが、減量は運動より栄養面の管理が重要なので、脂質や炭水化物を調整した食事内容の変更などが必要になるでしょう。
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だからと言って1日1食や炭水化物を全く食べないような無理なダイエットは脂肪だけでなく筋肉も削ぎ落してしまうので注意が必要です。筋肉は関節にとって衝撃吸収の役割も果たすので筋肉量をできるだけ落とさず減量できれば理想的ですね。
②栄養素の補給
実は栄養補給でも膝痛を緩和できる可能性があるんです。
・PUFA(多価不飽和脂肪酸)
なじみのあるものだとDHAやEPAなどでしょうか。DHAやEPAなどの油はω‐3系脂肪酸と呼ばれ、抗炎症作用や抗酸化作用の効果があります。また、脳内を漂う遊離脂肪酸にも作用して疼痛を軽減させる可能性も期待できるので、DHAやEPAを多く含む食品【サバやイワシなどの青魚】を食べるのがいいでしょう。
・ビタミン
ビタミンも膝の痛みを和らげる効果が期待できます。なかでもビタミンCとビタミンEは抗酸化作用(アンチエイジング作用)があり、関節症の進行に関与する活性酸素などを改善させる可能性があると言われています。
ビタミンCはレモンやキウイ、パプリカ。ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類、ブロッコリーなどの緑色野菜に多く含まれています。
また、骨代謝に関連するビタミンDも膝の痛みを軽減する効果が期待されています。
ビタミンDが不足すると骨破壊が進行し、骨が脆くなります。筋肉は骨に支えられて力を発揮するので、骨が弱くなる⇒筋力が低下する⇒関節への負担増加⇒関節痛増悪という負のサイクルに陥ってしまいます。
また、ビタミンD不足は炎症や疼痛を発生させるサイトカインなどのホルモン分泌を減少させる効果も期待できるので痛みの根源を直接減らすことができるかもしれないんです。
ビタミンDは魚(サケ・ぶり・サンマ)やキノコ類(しいたけ・マッシュルーム)に多く含まれていますレモンやキウイ、パプリカ。
ただし、過剰摂取は体重増加を引き起こす可能性があるので食べ過ぎは注意が必要です。
②まとめ
・ダイエットは膝痛を減らす
・良質な油やビタミン類も膝の痛みを減らす効果が期待できる
・食べすぎは体重増加のリスクがあるので注意が必要
文献
Sally T,et al:What is this evidence for a role for diet and nutrition in osteoarthritis?.Pheumatology.57.61-74.2018