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あなたは大丈夫?サルコペニアになる人ならない人の違い~食生活の違いが筋肉に与える影響~

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あなたはサルコペニアになりやすい生活を送っていませんか?

前回の記事でご紹介しましたが、サルコペニアは筋肉量や身体機能が低下した状態で、骨折や心臓病などの発生リスクを上昇させることが判明しています。そんなサルコペニアですが、加齢による1次性原因食生活や運動習慣などの2次性原因があると言われていて、今回は2次性原因(生活習慣)についてご紹介したいと思います。

加齢による身体機能の変化に関しては以前の記事でご紹介していますので、興味がある方はご覧になってください。

 

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 目次

①食生活によるサルコペニアの原因

②私が実践している生活習慣

①食生活によるサルコペニアの原因

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食事による栄養摂取は筋肉のエネルギーに関係しているので重要になります。特にサルコペニアに関連があると言われるのはこちら。

・総カロリー量

1日の摂取カロリーが消費カロリーより少ないと体脂肪が減っていくのはイメージできると思います。

実は、骨格筋も摂取カロリーが少ないと減ってしまうんです。筋肉をつけたい・維持したいと考えている人は摂取カロリー≧消費カロリーに食事を調整しないとトレーニングの効果などが激減してしまうので注意しましょう。

 

極端にカロリーが少ない→脂肪だけでなく筋肉も分解して栄養を補給する→脂肪だけでなく筋肉も減少するという流れに繋がりますので若いうちから過度な食事制限をしないように注意したほうがいい思います。

・タンパク質

タンパク質は筋肉の原材料といっても過言ではないと思います。材料が無いと物は作れないので、タンパク質の補給=筋肉の維持・増強に繋がることは間違えありません。

では、どのくらいの量をとればいいのでしょうか?

 

筋肉量を維持したいなら1.0g/㎏程度のタンパク摂取でいいと最近は言われています。

自分の体重と同じだけのたんぱく質を摂ればいいんだね。僕は60㎏だから60gのたんぱく質をとればいいんでしょ?

その通り。ただ、このたんぱく質の量は健康な高齢者が筋肉量を維持するための最低限の量なので、病気になったり・カロリー摂取が少なくなっている際は量が足りない可能性があります。

私は病気やカロリー不足のリスクを考慮して1.2-1.3g/㎏程度のたんぱく質摂取をリハビリ対象者に推奨しています。これはあくまで筋肉を維持する目的なので筋肥大を狙う人とは違うということにご注意ください。

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウム吸収率を高め骨を丈夫にしたり(骨粗鬆症予防)、血管が固くなるのを予防する効果(動脈硬化予防)が有名ですが、筋肉に対しても効果があるんです。筋肉の中にはビタミンDをトリガーにしてタンパク合成を高める受容体があるといわれています。ビタミンDを摂取することは筋肥大の効果を高める可能性があるといわれていますが、単独摂取では科学的な根拠がでていないようなので先ほど述べた栄養素と併用するのが望ましいと思います。

また、骨が弱くなるとと筋力も低下するいわれています。ほとんどの筋肉は骨に付着しており、筋肉が収縮する際は骨が筋肉を支えていることになります。

弓矢で想像してみてください。どんなに強い弦(筋肉)があったとしても鞘(骨)が脆いと思いっきり引っ張ることができませんよね?

骨を丈夫にしておくことは筋肉・筋力を維持することにも繋がるんです。

・必須脂肪酸

ココナッツオイルなどの中鎖脂肪酸が脂肪燃焼の効果で注目されていますが、必須脂肪酸であるω-3系脂肪酸は、筋肥大や筋力向上を高める可能性があると言われています。

この要因として、ω-3系脂肪酸の成長ホルモンの増加やインスリン抵抗性の改善などの筋肥大を高める効果、また筋分解を抑制する効果が関係していると言われています。

そうなんだぁ~。ちなみに何を食べればいっぱいω-3系脂肪酸が摂れるのかしら?

はい。油であればエゴマ油やチアシードオイルを摂るとよいと言われていますが、値段が普通の油より高いのが難点です。魚(特に青魚)にはDHAEPAという成分が含まれており、実はこれもω-3系脂肪酸になるので私は魚を食べる習慣を持つことをおススメしています。

②私が実践している生活習慣

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以上を踏まえて私が実践している食生活+αはこちらです

・自分の消費カロリーに応じて栄養摂取をする

私は自分の消費カロリーに把握したうえで、1日に摂取するカロリーをざっくりですが決めています。筋肉をつけたいとき(バルク期)は消費カロリーより摂取カロリーを多く、体脂肪を落としたいとき(減量期)は消費カロリーより摂取カロリーを少なくして体型管理をしているつもりです。

では、、自分の消費カロリーはどやって調べればいいか? 

1日の消費カロリー=基礎代謝量+生活での消費カロリーになります。

基礎代謝量は、BIA法を用いた体組成計(Inbody)を利用していますが、特別な機器が無いという方は、ハリス・ベネディクトという式を用いておおよその数値を把握するとよいと思います。

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生活での消費カロリーに関してはメッツ(METs)を用いてカロリー計算をしているのでこちらは予測値ですね。消費カロリー=METs*体重(㎏)*時間(h)*1.05

たんぱく質+αをしっかりとる
たんぱく質をとるのは当たり前なんですが、個人的には他の栄養素も同時に摂取できる食品を好んで食べるようにしています。

私は、鶏肉・ブロッコリー・青魚を必ず毎日1つ以上食べるようにしています。

鶏肉は、栄養素を身体のエネルギーに変換するために必要なビタミンB群が豊富に含まれています。せっかく摂った栄養も身体で代謝されなければ老廃物になるだけなので意識して摂るようにしています。

ブロッコリーは、野菜の中でもタンパク質の量が多く(約4g/100gあたり)、ビタミンB群や男性ホルモンであるテストステロンも含まれています。野菜は水分が多く食べた満腹感が得やすい利点があるのでダイエットをする際はとてもおススメです。

魚がタンパク質が多いですが、サバやイワシなどの青魚はEPAやDHAなどの必須脂肪酸を豊富に含んでいるんです。また、ビタミンDも含まれていますので、青魚を食べておけばサルコペニアを予防できる?かもしれませんね。

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参考文献

1)厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」結果の概要,https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf,(2020年6月11日閲覧)

2)サルコペニア診療ガイドライン作成委員会:サルコペニア診療ガイドライン2017年版,日本サルコペニア・フレイル学会/国立長寿センター,2017